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2024/04/26 02:52 |
祝福『3月28日A』
 
3月28日。

念願が叶った時、誰かに伝えたいのは人間ごく普通に思うこと。
だけど、その念願が大切な人と共に叶える事が出来たら一体誰に伝えればいいんだろう。
ううん、やっぱりダメ、大切な人と一緒なら他の人に幸せを分かち合わせるもんですか!
今の幸せは、あたし一人のもんなんですから!

「これからもよろしくな、ハルヒ」

あぁ、もう幸せ・・
この人にあたしの名前が呼ばれるだけでもう満足・・・

「うん、よろしくね、キョン」

同じような感じで言葉を返す。
もうこれだけで、ああ・・・あたし達繋がってるんだな・・・ って思っちゃうほどだもの。

「ハルヒから先にいいぞ」

うーん、確かに先に入りたいって気持はあるんだけど・・・
なんだか気が進まない。

「いいから入れよ、もう二人とも中は見てるんだし、変わらないって」

だけど・・・

「ほら、団員が団長より先に部屋に入るなんて失礼だろ? ほら早く」

しょ、しょうがないわね・・・
先に入ってあげるわよ!



時は二ヶ月ほど前。
高校を卒業する日の事だった。
最後のSOS団の活動内容は、シンプルに反省会。
ずっとお別れするわけじゃないのに、お別れ会とかするのは嫌だったから反省会。
みくるちゃんは、去年高校を卒業してるから反省会には出なかったけど、ずっとSOS団の団員って事には代わりないわ。
で、古泉君、有希も反省が終わって次にキョンの番がきた。
まぁ多分だけど三年間の中で一番動いたのはキョンかもしれないわね。
そんな事思ってたあたしは不意を突かれた。
『嘘をついていた事がある』
最初は、え?何?団長に嘘ついてたなんていい度胸ね、とか思ってたんだけど
『実は、ハルヒ、大学お前と同じところに合格してるんだ』
この時あたしはどういう顔をしていたか知らない。
キョンには県内の良いとも悪いとも言えない普通の大学に合格した、と聞かされていたから。
『で、だ。 もう一つ、伝えたい事がある』
大学だけでキョトンとしていたあたしに更なる追い討ちをキョンは仕掛けてきた。
『ハルヒ、好きだ。 付き合ってくれないか?』
うん、確かこの時頭の中が真っ白になって何も考えれなかったのよね。
元々、あたしは卒業する日にキョンに告白する気でいた。
でも近くに行っては、何も言えず、また近寄っては・・・の繰り返しだった。
後少ししか時間が無い・・・と焦るあたしに絶好の機会が舞い降りてきた。
『ダメか・・・?』
あたしは軽く頷いて
『まぁキョンのお願いならしょうがないわね。 いい大学に受かったご褒美と思ってなさい』
素直な気持は伝えれなかった。
本当は、もうキョンに抱きつきたかった。

で、大学は県外だったので、さすがに今の場所からだと通学が大変ということで、お互いに一人暮らしを決意した。
一人なんてのは、互いの両親を誤魔化すだけの事で、二人で生活、うん、同棲する事なんて秘密にしてある。
キョンによれば
『うちの親は絶対に止めさせられるよ・・・』
らしい、あたしの両親、特に父親の方は止めるだろうと思ったので、お互いに親に同棲の報告は無し。
仕送もあるし、キョンはバイトしてるしお金は大丈夫だった。
まぁ・・・、親がいきなり来たりしたらまずいわね・・・

そして今、あたしたちは念願を叶えた。
一戸建ての新居購入という夢の第一歩を。

値段は考えれないほどに格安だった。
キョンはバイトするのはいいが、あまり使い道が無いので貯めていたらしく、かなり購入の助けになった。


そして、今日が新しい二人の生活一日目。
嬉しすぎてもう叫びたいほどだった。

「よし、荷物片付けたら近所の人にも挨拶しに行くか。 それと散歩がてら昼飯食べに行こうぜ」

もうキョンの傍にいられるならばなんでもよかった。
というか、ここにきてあたしよりキョンの方がシッカリしているような気がしてきた。

「部屋の振り分けも考えないとな・・・ 今日は寝るのが遅くなりそうだな」

あたしはワクワクしすぎて眠れないかも。

「よし、ひとまず片付け終了かな? 腹減ったし先に昼飯行っていいか?」

あたしは大きく頷いた。
この家の周りにはどんな店があるのかも知らない。
新居もキョンが全て勝手に決めちゃったのよ。
まぁ任せたのはあたしなんだけどね。

「よし、行こうかハルヒ」

キョンはそっ、と笑顔で手を握ってくれた。
あぁ・・・ もう幸せ・・・ 死んでもいいかも・・・
キョンの笑った顔反則なほどにいい・・・
あたしキョンにベタ惚れね・・・
もうこのまま手を引かれて、抱きつかれて、押し倒されて、襲われてもいいわ・・・
むしろしてほしいかも・・・

あぁ! ダメダメ! 妄想したところで意味無いのよ!

「ん?どうした?意識飛んでるぞ?」

「あ、うん、ゴメン。 もうそ・・・じゃなくて、挨拶はどうしようって考えてたの」

「まぁ粗品買って渡せばいいんじゃないか?」

「あっ、ならお金持っていくわね」

「ハルヒはいいよ、俺が全部出す」

「え、でもそれじゃぁキョンが困るじゃない・・・」

「ハルヒのためならいいさ」

もう、らめぇ・・・ あたし限界・・・
襲ってほしい、いや襲いたいわ・・・

っ! だから妄想ダメっていい聞かせてるのに・・・

「じゃぁ行こうかハルヒ」

これがキョンとの新しい生活最初のデートね。
もう楽しむわよっ!
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2007/07/29 03:16 | Comments(3) | TrackBack() | ハルキョンSS『祝福』

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コメント

うっっひょー!!!!
こんな甘い生活送りたーい!

しかもハルヒ視点も何か新鮮!

フェンさんすごすぎ・・・
posted by DNat 2007/07/29 20:17 [ コメントを修正する ]
うおぉぉぉ!!
しばらく間を空けているうちに新連載とかマジきたコレ!!

しかも『涼宮ハルヒの幸福』に並ぶ幸せエピソードともなれば期待は無限に広がりますw
今回はハルヒ視点!?
フェンさんの斬新なアイデアに100ポイントだっぜ(笑)

続きも楽しみにしていますよ~♪
posted by 王道100番at 2007/07/29 20:30 [ コメントを修正する ]
な、な、なんじゃこりゃあー!!!!!
posted by 名無しさんat 2008/02/12 21:02 [ コメントを修正する ]

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