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2018/02/20 12:25 |
道3
 

「昨日のツケを払いに来たんですけど」

レジにいる人に用件を伝え財布から金を取り出そうとした。
俺が昨日の人と気付いてくれたのか、レジの人は微笑んでくれた。
どうやら事は早く済みそうだ。 とっとと金払って立ち去らねば。
しかし悪魔は舞い降りた。

「ちょっと来てもらえますか?」

どうやら簡単には帰してくれないらしい。
何があるのか知らないが・・・
危険な任務ならいい人紹介するからソイツによろしく頼む。

「すぐ済みますよ」

「その前にハルヒってもう来てます?」

その問いに対して店員はニコッと笑って、

「ついてきてください」

図星なのか・・・、その笑顔は悪魔の方か天使の方か・・・
まずいぞ、本当にハルヒはいるかもしれない。
あいつの前では二日酔いは無効になるのか?
いや確に核爆弾の発射を阻止するような能力は持っていると思うが・・・
今日に限ってそれは反則だろ・・・
いや、しかしまだ確定したわけじゃない、早まるな俺。

「どうしたんです?」

棒立ちしていた俺はハッとして、とりあえず女性の方についていった。
従業員専用扉を通って少ししたら女性が足を止めた。

「聞こえます?」
「え、何が?」

今は何も聞こえない・・・
女性が指差す方向には扉があって、プレートに『女性更衣室』と書かれていた。
どういう意味なんだ・・・盗聴しろと?
俺はそこまで変態じゃないし、そんな悪趣味はない・・・

「・・・から・・・無理・・・だよ・・・」

その場から動かずにでも耳に入ってきた。
すげぇ聞き覚えのあるハルヒの声。
どうやら二日酔いは無効化されるらしいな。
しかし元気の塊というか爆発したら地球が吹っ飛ぶダイナマイトというか、そんな感じのハルヒがこんな暗いような声出すなんて珍しいな。
少しその暗い声が気になるので耳をすまして聴覚だけに神経を集中させた。

「・・諦める・・・しょうがないよ・・・」
「大丈夫だって!また絶対チャンスくるよ!」

ハルヒと話してる違う人の声はしっかり聞こえるのにハルヒの声は途切れ途切れに聞こえる・・・
ハルヒらしくない声だな・・・、何かあったのだろうか?

「いいの、気にしないで。ゴメンね色々迷惑かけちゃって。もうあたしは大丈夫」
「無理したらダメだよ?何かあったら絶対言ってね?友達でしょ?」
「友達なんかよりも上よ。 仕事始めよっか」
「ハルちゃんはホント強がりだよ」
「何が? 普通よ?」
「だって顔見・・・」

突然レジの女性の人に服を引っ張られて後ろに下がってしまった。
ちぇっ・・・、いいところだったのにな・・・
しかし、いつの間にか扉に接近して耳を寄せていたようだ・・・
なんだかんだ言ってシッカリ盗聴してしまったな。
これ犯罪か?

「ちょっとここに居てくださいね」
「はぁ・・・」

そう言って女性の方は更衣室に入っていった。
また盗聴することは出来るがさすがにまずいと本能が察したので止めておこう、おとなしくしてるのが一番だ。
しかしハルヒにあわせる顔がないな・・・
面と向かうと凄い気まずい空気になりそうだな・・・
昨日ハルヒを放ったらかしにして俺は勝手に帰っちゃったしな。
これを機に謝っとくべきかやっぱり。

「・・・から・・・扉・・・ますよ」

扉から遠ざかったせいか、ハルヒ以外の人の声もほぼ聞こえなくなってしまった。
何の会話だ一体・・・ 俺を地に落とすための作戦会議か?

「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」

うぉぉ・・・ ビックリしたじゃねぇか。
扉越しでも大声で叫ばれたらさすがに驚くぞ。
しかも叫んだのは先程までロウテンションだったハルヒのようだ。

「アッハハハ!! ハルちゃんやっちゃったね!」
「いいじゃん!! チャンスだよ!?」

どうやら皆さんで俺とハルヒを今一番望んでいない方向に進めようとしているらしい。
ここから店の外まで・・・ 走れば十数秒か?

「ちょ、ちょっと皆・・・」
「逃げたら女失格だよ!」
「大丈夫だって!」

えっと、俺が確か50m走がハハァン秒だから約ー・・・
いや待て、何無駄な計算をしているんだ俺は・・・
やつが来る 天下無双、百戦錬磨のハルヒが・・・

「数時間ぐらいなら更衣室入室禁止にしてあげるから二人で楽しめるよ?」
「な、何言ってんのよ!? そ、そんなつもりないわよ!」
「あっれー?顔真っ赤」
「ち、違うって、コレは・・・」

どうやら彼女たちにとってハルヒは“子供“として見られているのだろうか。
ホント周りが変わると本人も変わるな。

そして扉越しに突然。

「キョン君ー、よかったら私と付き合・・・」
「な、何言ってんのよ!!」
「ハルちゃんが取らないなら私が取るよ、結構タイプだからねー」
「だ、駄目よそんなの!! っていやダメじゃないけど・・・ ダメじゃないけどダメ・・・」

ハルヒ、頼むからそこはシッカリしてくれ。
そうじゃないと俺が変になる・・・
というかいっそ俺が突っ込んでやろうか? 更衣室ってのがネックだが・・・

「じゃあ私も貰うー! ジャンケンしよ!」

おぉう・・・ まるで物扱いだな。
ジャンケンで決めるってのがまたオリジナリティーというかスペシャルというか・・・

「あぁもうわかったわよ! 行く!」
「おっとぉ? 私が貰うから別にいいんだよ?」
「それはダメ!」

今度こそ100%やつが来る。
団長、涼宮ハルヒ・・・

「ガチャッ・・・」

ゆっくり、とてもゆっくり扉が開く。
このゆっくりがとても恐ろしい・・・
ゲームでよくあるボスの前のムービーみたいなものだ。緊張するだろ?あれ。

「よ、よぉハルヒ」

扉が閉まると同時に鬼神は人間の皮を破りこの世界に降臨された。
このオーラはなんだ・・・ すげぇ恐ろしいぜ、ブラックより更にディープなブラックカラーだ。
本当にボス戦みたいだな。

「何勝手に盗聴してんのよ・・・」
「いや、これは・・・」
「問答無用・・・ 裁判の代わりに更衣室で処刑よ」

いかん、ハルヒのマジ顔ほど恐ろしいものはない。
それより処刑所が更衣室って色々法律にも違反するんじゃないのか!? なぁおい!

「じゃぁ代わりに罰を与えるから!! どのみちここじゃ話す気ないから更衣室入りなさい!!」

処刑の代わりの罰なら相当重い罰なんだろうな・・・
これはタダじゃ帰れそうにないな。

「私たちはお邪魔なようなので仕事戻るね」

三人ほど手を振りながら更衣室から出てきた。
できれば助けてもらいたいものなのだが皆さんハルヒサイドなんだろうな・・・

「さぁキョン!! 昨日はよくもアァも簡単に帰ったわね!?」
「お前が帰ってもいいって言ったじゃないか!」
「あんなの本気にする!?コッチは頭痛いって言ってたのによくも見捨てたわね!」
「いや確にそれは悪いって思ったけどさ!」
「とりあえず更衣室入って、ここじゃお客さんに聞こえちゃうから」
「あぁ・・・ まぁそうだな」

言われた通りに先に更衣室に入った。
なんかすげぇ香水くせぇ・・・ さすが女性更衣室だな・・・
しかし一体誰なんだ下着ほしてる人・・・

「カチャッ」

どうやら鬼神は本格始動するらしい、唯一の逃げ道にロックが掛ったようだ。
どうする俺・・・ 戦うか?

「一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「今キョンが私の立場ならどうする?」
「なんだそれ・・・」

全く意味わかんない質問だな。
俺が今のハルヒの立場なら? つまり今の俺がハルヒってわけか。

「同じ質問ぶつけてるかな」
「そっか、安心した」
「なぁハルヒ」
「何?」
「顔真っ赤だぞ、何考えてるんだ?変態め」

俺は間違ったスイッチをいれてしまった。
決してビーダマ転がしたり色々な仕組みを使ってゴールを目指すようなピから始まるスイッチではない。
ダイナマイトを爆発させるようなスイッチだ。

「ギャァアアアアアアアアッッ!!」


数分間、俺の叫び声は絶えなかった。

 

 

 

 

時は一時間ほど経過した。
俺は腰掛けで完全に燃え付きていた。
圧倒的すぎる、もう防戦一方だった。
俺とハルヒがどのようになったか、なんて事はご想像に任せる。
言っておくが俺たちは大学生だからな。
後少しで二十歳向かえるからな?

「そういえばハルヒには彼氏いたのにいいのか?」
「あぁー、あれは嘘。あんたが少しでも嫉妬しないかなー、と思って言ってみただけ」
「なるほどな」

すると何悪いことを思い付いたのかハルヒはニヤッと笑い。

「さてキョン?これからどうしてくださるのかしら?」

これからって・・・
自分の人生ぐらい自分で切り開いたらどうだ?

「知らん、帰宅してテレビでも見てればいいんじゃないか?」
「何言ってんのよあんたは。 汚れたのよ!?汚れたのよ!? あれがあるじゃない!! 責任っていうのが!!」
「よく言うぜ・・・ 俺なんて抵抗してたからな」
「こういうのは全部男が悪いって言うじゃない?」
「言わん、帰っていいか?」
「帰るなら現金3000万、当然でしょ? 言っとくけどこれでもまけてる方よ?」

高っ・・・ 一時間に3000万使うようなアホではないぞ・・・
それにアレは逆に俺が金取りたいぐらいだよ。無理矢理じゃないか。

「ハルちゃん~ ちょっと物取りたいから入っていい?」

来た、ヒーローが。
これで俺は逃げ道が切り開けるってもんだ。
今のハルヒは少々まずい、バーサーカーだ。

「佐由美ぃ!! あたしコイツに無理矢理やられたぁぁ!!」

一瞬で道は閉ざされた。
というかコイツは行動早いし、俺と佐由美さんとやらの切り替え早いな・・・
それよりハルヒ。 それは誤解生むぜ?
しかし凄い方だ。
一瞬で状況を察してくれたようで俺にウィンクしてくださった。

「無理矢理ね~・・・ キョン君いい度胸ね」
「まぁー、男ですしね」
「じゃぁ私もやられちゃうかしら?」
「はぁ!? ちょっと佐由美!?」
「まぁハルヒがいなければ?」
「そっか、ハルちゃんちょっと外出てもらっていい?」
「佐由美ぃぃ!?本気なの!? やめなよ!!」
「本気ぃ♪」
「キョン! 佐由美に手出したらぶっ飛ばすからね!!」

よく言うぜ・・・ さっきまで俺をボコボコにしやがったくせに・・・
それに手出す気はないし。とりあえず佐由美さんとやらのアイコンタクトに従うとしよう。
なんだか面白いしな。

「ハルちゃんは無理矢理やられたって事はキョン君がどうでもいいってことだよね?」
「ち、違!! じゃなくて、そうよ!」
「じゃぁキョン君貰い~♪ キスならいいかな?」

本格的な演技になってしまった。
佐由美さんがノリにノってしまいハルヒがかなり慌ててるようだ。

「ちょっとトイレ!! 佐由美も付いてきなさい!」
「あははー、了解」

バタンッ!と扉を閉めて先にハルヒが出ていった。
すると佐由美さんが近付いてきて。

「いい演技だったよ。でも無理矢理はちょっと関心しないなぁ・・・」

と言ってスタスタと出ていった。
いや、だから無理矢理はハルヒの方で・・・
ハルヒの言ったこと信じてたんですか・・・

「泣けるな・・・」

 

 

 

 


その後のことだ。

『キョン、命令よ! 責任取りなさい!!』

ハルヒと佐由美さんがトイレから戻ってきてすぐにハルヒに胸ぐら掴まれて叫ばれた。
胸ぐら掴まれた状況で言うことじゃないな・・・

『はいはい・・・ おおせの通りに』

 

てなわけで俺は責任を取るハメになった。
今はハルヒが仕事終りまで近くの公園のベンチで座って待っているわけだ。
まぁなんだろうな・・・ 結局いい方向に進んでるんだろうな。

「おっ待たせ!キョン!!」

どうやら仕事が終わったらしい。
あらまぁ、力の入った私服だことで。

「初デートならこのぐらいしなきゃね!」
「そうかい・・・ とりあえずお仕事お疲れ様」
「うん、疲れたわ。 おんぶして」
「はぁ!? お前、よい身分だな」
「女王様を下僕が慕うのは当然でしょ?」
「なら別れるか、俺はどっちでもいい」
「ちょ、ちょっとキョン!!? じょ、冗談に決まってるじゃない!」
「はいはい・・・ 疲れるなお前の相手」

なんて言ってるが内心嬉しいんだけどな。
まぁハルヒがここまでベタベタしてくるのは予想外だったけどな・・・

「むぅー、何よその言い方」
「クレープでも食いに行くか」
「何だかなー・・・ 愛が無いって言うか無愛想というか・・・」
「不満があるなら別れろよ」
「あぁもうキョン! 一回好きって言ってよ。なんか不満!」

不満ねぇ・・・
まぁ今俺はかなり無愛想モードだからしゃぁないかな・・・

「ハルヒ好きだ、うん」
「無愛想ねぇ・・・ まぁいいわ」

ハルヒに腕を絡まされて俺はもうハルヒの動く方向にしか動けなくなってしまった。
まぁいいか、このスッポリ空いた半年間を埋めてくれるのかな。

「もちろん全てキョンの奢りね」

だろうと思いましたよ・・・
あのなぁハルヒ、お前もそこそこ持ってるんだろ?
なら別に割り勘でもいいじゃないか・・・

「溜息酷いわね・・・ 楽しみなさいよ!」

わがままな団長様なこった。
まぁ今日は初デートなわけだし楽しまなきゃいけないのだが。
なんだかハルヒの前で本心を表すのがなんとなく嫌だな。
もう少しこうやってハルヒを揺さぶってみるか。 面白そうだしな。

「なんか変なこと考えてない?」
「え、いや?別に?」

何故変なところだけ鋭いんだ・・・

「そういうのって、アレ・・・ えっとツンデレって言うんだっけ?」
「お前に言われるか・・・ 俺も落ちたものだな」
「何よその言い方!! なんか進学してムカツク態度になったわね」
「まぁ同じ立場だしな」
「SOS団は不滅よ!! あたしが団長!あんたは団員。わかる?この差」

わかりたくないな、そんな差。
とりあえず楽しもうか、この時間を。
そうじゃなきゃやってらんねぇ。

ハルヒもノリノリのようだしな。

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2007/07/26 21:50 | Comments(1) | TrackBack(0) | ハルキョンSS『道』

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コメント

posted by 名無しさんat 2008/02/12 21:53 [ コメントを修正する ]

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