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2018/08/19 16:47 |
ハルキョンSS『道1』
 
天気のいい平日。
俺はいつも通りその日の勉強という精神的拷問を乗り越えて、ただ意味も無くショッピングモールをブラブラしていた。
別に何か買いにきたわけでは無い。
人間思いついたことをその場行動したいもんだろ?
別に宇宙人がこのショッピングモールに入って行く瞬間を見たわけでもないし、不思議なオーラが発生しているから、というわけでもない。
ただなんとなく、だ。
最近バイトしているためか、財布にはソコソコ入っている。
だがしかし、最近は欲しいという物が無い。
センスの無い服や、あり得ない値段の陶器。
もちろん買う気なんて無い。
唯一買う、と断言できるものと言ったらジュースぐらいだろうな。
はぁー・・・ 今思うとなんのために此処に着たんだろうな。
本気で意味も無く此処に着たと思うと情けなくなるので久しぶりにゲームでも買っていくとしようかな。
最近は何が出ているのだろう。
いつの間にかゲーム雑誌も見なくなっているし、まったくわからん。

それにしても何もすることが無いな・・・
昔はこの位の時間帯は、わけもわからない事ばかりに振り回されてばかりだったんだろうな。
そう思うと懐かしい思い出だよ。
北高校から卒業して既に半年ぐらいかな。
今通ってる大学には慣れた。 友人も沢山出来たし、色々と行事もした。
まぁ楽しいと言えば楽しい日々が続いている。
今思えばSOS団での日々はかなり楽しかったのかもしれない。
やりたい事だけをやって時間を潰していた。
校内で一番自由な時間だったんだろうな。
戻れるならば戻りたいさ、あの時に。

人生うまくいかないなんて当然さ。
あぁ例外がいると言ったらいるがな。
まぁ一般市民には関係の無い話だな。
たまに、今何のために生きているのだろうと思うこともある。
今のままじゃ、いや今も社会のために生きている、という感じはしない。
世界のためになら、どの人間よりも働いた気がするがな。
正体を明かさない正義のヒーローみたいな感じだ。
まぁだが今悪の組織や戦隊もののヒーローが出てきたら、世界は確実に面白い方向になるだろうな。
あり得ない話だけどな。

まぁやつが望めばそんな世界になるかもしれん。
他でもない元SOS団団長涼宮ハルヒ。
やつの地上最強最悪な能力は未だに健在してやがる。
でもまぁ古泉によると今では閉鎖空間やおかしな事は1つもないらしい。
それほどハルヒも納得のいくキャンパスライフを送っているのだろう。
なんだ?となると高校時代より今の方がいいってか?
あれだけ雑用押し付けてそれは無いよな。悲しくなるだろう。

ハルヒは県内で有名な大学に進学した。
まぁやつの頭脳なら余裕なんだろうな。
それ以前に合格は100%って決まってるんだろうな・・・、お前それ卑怯だろ。

俺か? 俺はただの普通の大学さ。
良くも無いし、悪くも無い。一番近い場所を選んだ。
後悔などしていない。 むしろここが俺の今の居場所だって断言できる。
この先就職活動などしなきゃならんと思うと気が抜けるが、まだまだ先の事だし考えないようにしている。
それ以前に未来があるのか心配しなきゃならない立場だしな。

朝比奈さん、長門、古泉もそれぞれバラバラの大学に進んだ。
皆勉強熱心なことだ。 俺なんか適当に日々を過ごしてるぞ。


なんだか色々考えてたら意味わからない方向に来てしまったじゃないか。
なんだここ? 喫茶店か何かか?
まぁいい、とりあえず喉も渇いたし、一息つこう。

「いらっしゃいませ」

結局、何を食べれるor飲める場所なのかもわからないまま入店した。
わりと中は広くてそこそこ客はいるな。
密かな場所に美味い飯屋なんてのはあるよな。
ここもその一種なのかもしれない。
店内に広がってる匂いからしてコーヒーっぽいな。
まぁそれだけで十分だ。 別に腹が減っているわけでもないので、食う気は無い。
ずっと歩きっぱなしってのも割と疲れるのでとっとと座ろう。
ど真ん中の席に座るほど勇気はないので、端っこの方がいいだろう。
そんなコーヒー一杯のために席を迷ってたら日が暮れてしまうぞ。
そんな無駄な時間過ごすぐらいならさすがの俺でも勉強するぞ。


しかし何故だ。 なんか懐かしい感じがする。
勿論来たことの無い店だ。
なんだこの感じ。 本当に懐かしい感じが。

「ご注文はお決まりで・・・・・・しょう・・・・か・・・」

店長、このバイトさん何かおかしいぞ。
最初はトーンが高いの後々ダウンしている・・・

「コーヒーひとつお願いします」

「かしこまりました・・・ ご注文は・・・以上ですか・・・?」

「え、あ、はい」

そのバイトさん(多分)はペコッと頭を下げて行ってしまった。
何故かお盆で顔は隠していたし、何なんだ・・・

「はぁ・・・  あ・・・?」

溜息をついたと思ったら疑問詞が発生してしまった。
何故か3人程の店員がコチラを見て、何やらヒソヒソ話しをしているのだ。
多分その中には先ほどオーダーを取っていた人はいないだろう。
本当に何なんだこの店は。 不思議過ぎる。

多分この店の衣装なのだろうか、店員は皆同じものを着ている。
もちろんメイド喫茶みたいな感じではまったく無い。
店内は渋い感じが漂っていて、ただ女性の店員だけ何故か華がある衣装だった。
男性の店員もいるが、普通の本屋にいるおっちゃんみたいにエプロンしてうろうろしている。
入る店間違えたか俺?

「お待たせしました、コーヒーです」

先ほどヒソヒソ話していたと思われる女性の方がテーブルまでコーヒーを届けてくれた。
するとどうだろう

「あの、いきなりなんですけど」

何やら話しかけられた。
別に不快なんてまったく思わないし別にいいのだが。

「ちょっとテーブル移動してもらえます?」

何やら俺はまずい場所に座ってしまったのだろうかと思う。
とりあえず了解して、その人にテーブルを案内してもらった。
隣りの席じゃいけないのか、と思ったが、何やらあるかのように、誘導された。
本当に不思議な店だなオイ。

「コチラの席でお願いします、少々お待ちくださいね」

誘導された場所は先ほどの席より更に端っこ、というか店で一番端っこの席。
まぁ窓から見える景色もなかなか良い感じなので不満は無いが。

「お待たせしましたお客様」

はて、俺はコーヒー以外に何か注文しただろうか?
と思って窓から視線を外して、声のする店員に目を向けたら。
そこには二人の店員が立っていた。
未だにお盆で顔を隠す女性と、楽しそうにその女性を引っ張って席に座らそうとする店員。
何故その人を座らせるんだ?と不意に声を出そうとした瞬間、その答えが出た。

「ちょっとハルちゃん! 久々の再会なんでしょ?」

ハルちゃん・・・ ハル・・・ ハル・・・
思い当たる人物など一人しかいなかった。

「ち、違うわよ!こんな人しらないし!あたしそんな名前じゃ・・・!」

妙に慌てているような素振りだった。
もう誰かわかってしまった俺は何故かニヤケていた。

「は・や・く座りなさい! 後は私たちが仕事やるから、彼とごゆっくり!」

「だからこんな人知らないわよ! 仕事もどるわよ!」

ハル(念のため以下省略)の手を掴んだまま離さないもう一人の店員が何か思いついたように微笑んだ。

「お客さんが『キョン君』ですよね? 実はさっきハルちゃんがオーダー行った時ね、戻ってきたら顔真っ赤にして・・・」

「きゃぁぁっ! それ以上言わないで!」

「じゃぁ座りなさい」

ハル(何度も言うが念のため省略してるんだ)の肩をポンポンっと叩いて、魔法を使ったかのように静かに座らせた。
ううむ、こんなにコイツを大人しくさせるなんて一体何者なんだこの人・・・

「えっと、その初めまして・・・」

お盆そろそろ取ったらどうだ・・・
いくら俺でもさすがに正体わかるぜ?

「いえ、はじめましてのはずです・・・」

「それじゃぁごゆっくりお二人さん♪」

その言葉だけを残して立ち去ってしまった。
向こうのほうで他の店員がこちらを見ているのは気にしないでおこう。
お盆で顔を隠したまま、他の店員が行ったのを確認したのか、突然

「あんたなんで知らない人のフリしないのよっ!!」

そんなボソボソ声で言われても説得力ないぞ。
それに半年ぶりの再会で他人のフリってのはお互いに嫌だろ。

「バカキョン・・・ おかげでからかわれたじゃない・・・」

うん? 別に同じ高校なだけで、からかわれるようなネタにはならないと思うが?

「だってあたし、皆に言っちゃったんだもん・・・」

「何をだ?」

「あっ! いや、なんでもないわよ!!」

なんかハルヒの様子がおかしい・・・
妙に慌てていて、周りをキョロキョロしながら落ち着きが無く話している。
高校の時とは大違いだ。
なんかハルヒらしくないな・・・

「まぁなんだハルヒ、その服似合ってるな、この店の衣装か?」

可愛らしい黒い衣装。
この半年で髪も伸びてるっぽくて、腰のちょっと上辺りまで届いていた。

「え? そう・・・? あ、いや、お世辞言っても何も出ないわよ!!」

ちっ、残念。 コーヒーの割引券ぐらいくれれかと思ったのにな。

「むっかぁー・・・ 割引券目的であたしにお世辞なんていい度胸じゃないの」

「冗談だよ、似合ってる、可愛いと思うぞ」

「へ・・・? え、うん・・・ はぇ・・・?」

ハルヒがおかしくなった。
多分その辺にネジがあると思うから誰か探してくれ。

「ちょっとすいませんお客様。 インターバルください」

再びハルヒを黙らす事ができる女性が登場してハルヒを引っ張って奥に行ってしまった。
インターバルって・・・
まぁいいか、コーヒー冷めないうちに飲んでおこう。
で、飲んだらハルヒも大変そうだし退こう。
そういや、まだ午後になったばかりだかハルヒは授業とってないのか。
まぁ俺もなんだがな。 今日はもう帰る予定だった。

「えっとキョン君って呼んでいいですかね?」

再び女性が戻ってきた。
ハルヒを引っ張って。

「えっと、キョン君、わかってると思うけど、ハルちゃんいい娘だからさ、私から頼むのもなんだけど、二人で何処か気分転換に行ってくれない?」

「え、それって・・・」

「まぁデートとも言うけど、最近ハルちゃん働きっぱなしだから体に負担かかってると思うの。 だからデートと思わなくていいから二人で散歩とか行く気ない?」

まぁそれでハルヒの疲労が取れるなら引き受けますが・・・
肝心の本人は?

「あたしは・・・ 別に疲労なんか・・・」

「あのね、ハルちゃん」

ここから少し長めの説得が始まった。
多分同年代と思われる女性は俺よりもハルヒよりも大人びていた。
ハルヒと仲が良いのだろうか?
ハルヒが珍しく黙って人の話を聞いている。
こんな光景が見られるなんて思ってもなかった。

「よし、キョン君、今度またお店に着てね、で色々ハルちゃんの事聞かせて」

「え、はい。 わかりました」

「こ、こらぁダメよキョン!」

このハルヒの焦りよう・・・
まさか大学に入ってからイメチェンとかないよな。

「じゃぁ着替えて着替えて、後は私たちに任せなさいっ!」

ハルヒが奥へと入っていった。
するとこのタイミングを待っていたかのように女性が

「手をいきなり繋いであげてね、後、時間が経つにつれて親密度が上がると思うからそれに準じて腕組んだりしてあげて」

ハルヒもこんな人に好かれて、さぞ嬉しかろうに。
そういえばあなたはハルヒとはどんな関係なんですか?

「ん~ ハルちゃんは私のお嫁さんだね~」

え、は、え? お嫁?

「ジョークですよ、それ程に仲がいいと言うことで認識してくださいな」

あぁ、そういう・・・
なるほど了解しました。

「それにハルちゃんがお嫁さんで、お婿さんが・・・ねっ!」

あなたですか? お婿さんは

「ハルちゃんの言った通りですねキョン君は。 こんな優しい彼氏いたら嬉しいのに・・・」

「優しいかどうかは知りませんが、俺よりもいい男なんて沢山いますよ」

「ふふーん、キョン君は恋をしたことがあります?」

何を突然聞くんですか・・・
俺の恋ね・・・、いつだっけな忘れちまった。

「それはありますけど、叶わない夢は見るだけ無駄ですよね」

願うだけで叶うほど夢は軽くない。
努力すればなんとか・・・ とか言うが、恋はそれとは例外である。

「違いますよ、願わないより願った方がいいに決まってるじゃないですか。 絶体に手の届かない人でも願う事なら出来ます。 簡単に諦めるなんてもったいないですよ」

優しい微笑みで俺に話してくれる。
確かに願って損があるわけがない。
だけど叶わぬ夢は見るだけ悲しくなる。

「キョン君だってありますよね? 叶わない夢をみたことが」

確かにあるかもしれない。
恋愛に限らず様々な分野で。

「だからねハルちゃんは、ずっとあな・・・」

「お待たせキョン」

ハルヒが小走りでやってきた。
もう既に私服になっており、少し化粧も入っている感じがする。

「ハルちゃんっ、わかってる?」

ハルヒは頷いてからそのまま無言でうつむいた。
俺に二人の間にどんなテレパシーが伝わったのかは、わからない。
とにかく俺に与えられた第一のミッションは、
『手を繋ぐ』。
まぁ別に俺はいいのだがな。
何事も挑戦だ、当たって砕けろ。
もう何も考えずハルヒの手を掴んで引っ張った。

「ふぇっ!? キョ、キョン!?」

手を繋いだぐらいでそこまで驚かなくてもよいだろうが・・・
更に顔は真っ赤にして、もう俺の引っ張る力でしか動いていない感じだ。

「キョン君、ハルちゃんをよろしくねー! お代はツケとくから!」

手をふって見送られた。
そのままハルヒと店を出て、とりあえずショッピングモールをうろつくとしよう。
ちょっと聞きたい事もあるしな。

「ところでハルちゃんよ」

キッと睨みつけるかのような顔が俺に振り向いた。
これは殺気か?

「次その名前で呼んだら死刑ね。 あんたにだけは呼ばれたいくないから」

そうか、それはそれはすまなかったな。
別にアダ名の一つでゴチャゴチャ言うなよ、俺なんて一言も言わなかったぞ。

「キョンが本名みたいなものだしね」

そう認識されてるなら悲しいぜ。

「で、だ。あの店でバイトしてんのか?」

「あぁ、あれわね」

長ったらしい話だったのでまとめようか。
先ほどハルヒを魔法を使ったのかのように静かにさせた女性の親の店だそうだ。
しかしまぁ人手が足りないということでその親の方が娘をバイトとして雇ったのだが、それでも足りないのでハルヒや他の大学の友達を誘ったそうだ。
あの店そんなに繁盛してるのか、凄いな。
で、もってそれも長く続いてバイトというか既に正式社員みたいになっているのだそうだ。
でもまぁ辞めたければ辞めれるらしいが、面白くて収入もいいから続けているのだとさ。

「わかった?」

安心しろ、俺が超わかりやすく短くまとめてやったから。
しかしまぁお前もバイトしてたんだな、てっきりまた変なサークルでも作ってたのかと思ってたぞ。

「市内探索なら一人でやってるわよ、でもまったく収穫無し・・・ 三年間以上やってるのに一つも不思議が無いなんておかしいと思わない?」

まだやってるのか。
しかしお前も大人だろ? そろそろそういうUMAや超状現象とか不思議から引退したらどうだ?
いい加減いい男でも探して毎日のキャンパスライフを楽しんだほうがいいと思うぞ。

「大きなお世話よ。 あたしは今の生活が一番好きなの」

なら大学卒業しても一人生活でもすんのか?
女性一人ならかなり辛いと思うぞ。

「あんたさ、あたしを甘く見てない?」

その余裕は何処から生まれてくるのか聞いてみたいね。
そんな余裕こいてるといずれか沈没するぞ。

「大学に入ってから・・・ そうね、もう13回は告白されたかしら?」

沈没、いや、ハルヒによって撃沈させられたのは俺の方なようだ。
半年で13回って凄い記録だな。

「男なんてどうせ体、顔、ぐらいしか見てないのよ。 中身が大事だってのに最低よ」

まぁ確かにそんな男らから告白されるんだろうな。
外形ならトップレベルのハルヒが未だ一人でいるんだ。
放っておく男がいない方がおかしい。

「だから全部振ったわ、『外形しか見てないのによく告白するわね?あたしが簡単に体を許すなんて思わないで。 それと、今後近寄らないで』ってね」

中々酷い振り方をするな。
まぁ確かに振る理由としてはいいのだが。
今後近寄らないで、って結構キツイな。

「こんくらい言わなきゃまた来るじゃない?」

まぁ確かにな。

「でも今あたし彼氏いるのよ?」

お前ほどの女性に彼氏がいない方がおかしいだろ。
いい年なんだしその位驚かないさ。
お前もその男性が気に入ったんだろ? よかったじゃないか。
市内探索もその彼氏と行って、沢山遊ぶといいさ。

しかしまぁ、俺はよく考えたら凄い状態なんだよな。
久しぶりに再開したのに『きゃぁー、久しぶり!』とか叫ぶことが無いな。
まぁ俺がそんなキャラじゃないのはわかってると思うが・・・
もう少しぐらい感動ってものがないのか、コイツには。

「キョン、それより疲れた・・・ 何処かでゆっくりしましょ・・・」

あぁ、そういえば仕事終わりだったな。
何処でもいいぞ、好きな場所に行こうか。

「じゃぁあのお店、パフェをキョンの奢りね」

ハイハイ団長様。
まぁいいさ、お前も疲れてるんだろうし、久々に会ったんだからこのぐらい出してやるよ。

「そっ、よろしい。 さすがあたしの下僕ね」

お前の下僕になった気なんて一度も無いぞ。
御恩奉公ってわかるよな?
俺が何かしてやる代わりにお前は何か御礼をしなきゃならないんだぜ。

「SOS団にそんな規則は無いわ」

懐かしい響きだな。
とりあえずまぁハルヒ、お前足大丈夫か?本気で疲れてるんじゃないか?

「もう疲れたわよ・・・ 今日は授業とって無いから朝から仕事仕事・・・ 更にお客さんいっぱい入ってくるしもうクタクタよ」

そうか、おつかれ様。
まぁ今日ぐらいは俺が付き添ってやるよ。
やりたい事でも好きなことをやればいいさ。

「じゃぁ一日キョンはあたしの物ってわけね」

確かに言い方は間違ってないが『物』って・・・
まぁ今日一日ぐらい別にいいだろう。
帰っても何もやる事が無いだろうし、久々の再開なんだ。
話したいことだって聞きたい事だって沢山あるさ。




「いらっしゃいませー」

入ったのは普通の飲食店。
とりあえずハルヒの要望はパフェなので、ある場所なら何処でもいいようだ。
俺は先ほどコーヒー飲んだので別に何もいらないのだが。

「店員さーん、このパフェとこの赤ワインお願いしますー」

ハルヒは余分な物を注文していた。
赤ワインってお前・・・

「お前大丈夫なのか? 確かアルコールに弱かっただろ」

するとハルヒは鼻で笑って

「ふふーん、少しぐらい強くなったわよ」

ならばお手並み拝見といこうか。
そうなれば俺も何かワインと合いそうな物が欲しいな。
モッツァレラチーズとトマトのやつとか、その辺が妥当だろう。

「じゃぁコレもお願いします」

「かしこまりました、ごゆっくりどうぞ」

っと、ひとまず落ち着いたところで話したいこともあるし、話そう。

「なぁハルヒ、そっちの大学面白いか?」

「うん? 面白いわよ?」

そりゃそうだろうな、閉鎖空間も発生してないんだし。
別にハルヒは高校なんかより今の大学で満足だったんだ。
古い思い出より新しい思い出。
まぁそう思うと悲しくなるが、それはハルヒの決めることだしな。







*












空はいつの間にか暗闇になっており、いくつもの輝きが見えた。
そろそろ寒くなる時期頃であってちょっと冷たい風が頬をすり抜けてゆく。
そんな中で俺は大荷物を抱えて、自宅から離れた方向に歩いていた。
勿論買い物なんてしていない。
俺の背中に乗っているのは先ほどのワインで完全にダウンしたハルヒ。
あれからワインが届いたと思ったらハルヒはお腹すいたとか言い出して料理も注文した。
で、ワインも空になって料理も完食したと思ったら。
『ふにぁ~、きょぉん、はこんでぇ~』
ハルヒは完全にダウンしてしまった。
なかなか可愛らしい声を出すもので、仕方なく運んでいた。
するとなんだ、コイツいつの間にか一人暮らしし始めてるので、家がまったくわからなくて、公園のベンチで座らせて聞き出すこと約1時間。
やっと正確な位置がわかった。
なので俺は今新ハルヒの自宅に向かって歩いていた。
しょうがないだろ、今日一日は雑用係みたいになってるんだからな。

「きょぉーん、早くぅ~」

もう寝ているのか起きているのかわからないハルヒ。
たまに寝息を立てたと思ったら急に意味不明な事を言い出したり・・・

「スースースー・・・」

ほら、またおやすみしやがった。
俺としては寝てもらったほうが歩くのは楽なので助かるのだが。
まぁいいさ、無駄なこと考えずに歩いたほうが速いだろう。











*









ハルヒの新しい住居は普通のマンションだった。
広くも無くて狭くも無い快適な空間だった。
中も綺麗に整頓されており、女の子の家って感じがした。

「きょぉん~みずぅ~ちょうらい~」

ダメだ、コイツ完全に酔ってるな。
とりあえず水飲めば少しは目が覚めてくれるだろうか。



「ほら、持ってきたぞ、起き上がれ」

ハルヒの背中を支えて起き上がらせようとすると、

「そんなのだめよぉ~、口移ししなさいよぉ」

「はぁ!? それはさすがに無いだろ!」

たのむからシッカリしてくれハルヒ・・・
お前は酔うとどこまで暴走するかわからないのだから・・・

「ジョーダンに決まってるじゃない。 もしかして口移ししたかったぁ?」

「別に。 ほら飲め」

「ノリが悪いわねぇ・・・」

ノリとかそういう問題じゃないだろ。
ほらもう8時じゃないか・・・ そろそろ俺も帰らんと・・・

「らめぇよそんなの・・・ あたしを一人にするの?」

出来れば帰らせてもらいたいものだが・・・

「とりあえずお前がこのままじゃ放っとけないよな・・・」

こんなグダクダな状態で放置しておいたら明日どうなってるかわからない。
幸い明日は土曜日で俺の学校は休日だ。
別に一日中面倒を見ることも可能だが・・・
さすがに相手は女性なので俺がここで一夜を過ごすとなると色々まずい事になるかもしれない。
だからなるべく早く帰宅したいのだが・・・

「う~ 頭痛い・・・」

ハルヒが心配だ。
まぁハルヒの自業自得なのだが、今日の俺は立場上逃げる事は不可能な状況だ。

「ばかきょーん、責任とりなさいよぉ」

第一、お前がワインを頼むのが悪いんだろうが。
アルコールに強くなった宣言しときながら全然強くなったとも思えないし・・・

「マジで大丈夫か? 完全にダウンしてるぞ」

「う~? 大丈夫に決まってるわ?」

ぁー、ダメだなこりゃ。
こういう時はどうすればいいのか・・・
どのみち明日は休日なんだしハルヒも自然回復するのであまり心配する必要は無いのだが。
なんだか放っておけないのが本音なんだよな・・・

「お風呂入りたい~、きょん手伝ってー」

馬鹿かお前は。 風呂ぐらい自分で入ってこい。
まず風呂入るだけで俺が手伝う事なんて無いだろ。

「一人じゃ歩けないもんー」

もう寝たらどうだ?
明日起きてから風呂ぐらい入れ。

「こっちは純粋な女の子なのに、そんな汚らしい事出来ないわよ」

あー、ラチが明かん。
もう肩貸してやるから行くぞ。

「もうちょっと優しくしなさいよ。 こっちは疲れてんのよ?」

自分から言ってきてそりゃねえぞ。
まぁいい、少しぐらい我慢しろ。





「ちゃんと脱いだもん畳んどけよ」

「きょんに任せるわよ」

ハルヒが服を脱いでいる間、俺は洗面所の外で待っていた。
どうせハルヒの脱いだ服も俺が整頓しなきゃならないはめになるので、せめて畳んでくれ、というわけだ。

「じゃあ後片付けよろしくね」

ハルヒが風呂に入り、俺が洗面所にいくと。
やはりと言うか、わかりきっていた事だがハルヒの脱いだ服も下着も適当に床に置いてあった。
今のハルヒには何言っても無駄なようだな。

「きょんさー、今日泊まってかない?」

思わぬ不意打ちのような言葉が扉越しから聞こえた。
あのなハルヒ。 お前もわかると思うが俺だって男だからな?
そういう発言は彼氏に言ってあげなさい。

「イエスかノーかって聞いてるの。 ついでに今日あんたは、あたしの物。 後今日あたしは駄目っぽいから、ちゃんとあたしの世話しなさいよ」

酔ってるくせに記憶力だけはいいな。
しかし強制的にイエスにされそうなんだが。

「ノーだ。 お前は大丈夫だ。 今までお前の傍に居てわかった。 今お前に俺は必要ない。 大丈夫だ、一人でも酔いぐらいどうにか出来るさ」

「あっそ。 じゃあ帰りなさい。 バイバイ」

おぉ? もういいのか?
なら帰らせてもらうとするかな。

俺があの店に行くか、ハルヒが俺に会いに来るか。
それぐらいしかもう会う機会は無いだろう。
こんなあっけない終り方だったが、今のハルヒじゃあんまり話しても記憶には残らないだろう。

「ハルヒ、ありがとな。 最後になるかもしれないが楽しかった。 もう会えないと思うが、ずっと友達だよな」

畳んだハルヒの服を床に置いてからその場から出た。
大丈夫だあいつは。
今の彼氏とずっと幸せに生きていくさ。
久しぶりにハルヒに会えて、短い時間だが話せて楽しかった。
ありがとな。

結局俺はお前が好きだったのかもな。
本当に今更だが・・・

「お前今彼氏いるって言ってたよな? 今更こんな事言うのもあれだが、俺はハルヒが好きだ。 伝えたかっただけだ、今の彼氏を大切にしろよ?大丈夫だ、多分頭の中モヤモヤしてると思うが明日になれば今日の事は全て忘れているさ」

そう、明日になれば全て忘れているさ。
今日俺がハルヒの働く店に行っていた事。
俺が今日ハルヒの物になっていた事。
俺がハルヒに告白した事。
全て。

「いままでありがとな。 それじゃあ」

持ち物を確認してハルヒの家を出ていった。
うぁ、なんだか寒いな・・・ さっきこんなに気温低くなかったのだが・・・
はぁー、こっから自宅まで結構距離あるな・・・
駅とかどこにあるかわからないし・・・
まぁゆっくり帰りますか。
明日は休みだし、ゆっくりしよう。
そんでもって、今日とは違う店によろう。
今日買い損ねたゲームもあるし。
・・・もう会えないんだよな、ハルヒ・・・
ハルヒ・・・





俺には俺の道があって。
ハルヒにはハルヒの道がある。
人の数、何億本もあるレールの中から二つが連結して、一緒に道を作るなんて難しい事だよな。

なぁ、ハルヒ・・・
俺たちは違う道なんだよな・・・
一緒の道はダメなんだよな・・・

もう俺の道もハルヒの道も真逆を向いてるんだよな。

今までありがとな、団長様。
お幸せに。
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2007/06/09 19:39 | Comments(10) | TrackBack(0) | ハルキョンSS『道』

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コメント

素晴らしい出来ですなぁ

早く続きが読みたいっす
posted by 谷口一号at 2007/06/09 20:35 [ コメントを修正する ]
続き期待!
posted by 名無しさんat 2007/06/09 20:50 [ コメントを修正する ]
キョンの心中を察した文が最高に共感できるっす!
うわ・・・俺が渡した小説が恥ずかしいぐらい完成度低いと言うことが痛いほど分かってしまった・・・OTL
posted by DNat 2007/06/09 21:35 [ コメントを修正する ]
うおぉ!!大作の予感がします☆
キョン→ハルヒへの想いの描写が読んでいるこちらにも伝わってきましたよw

どうやらこの話は2話に続くみたいですねw
いったいどうなることやら…続きに期待MAXです♪
posted by 王道100番at 2007/06/10 08:31 [ コメントを修正する ]
ハルヒの彼氏はキョンしかないと思うけどどうなんでしょうか?
続きを期待してます
posted by 名無しさんat 2007/06/10 19:54 [ コメントを修正する ]
ハルキョンラブの通りすがりです。
いやーあなた様のハルキョンは素晴らしいです(笑
続編期待しております。それでわ
posted by 名無しさんat 2007/06/11 07:35 [ コメントを修正する ]
読ませていただきました。
とてもよかったです!
続き楽しみにしてます。
posted by 瑞綺at 2007/06/11 19:05 [ コメントを修正する ]
キョンの切ないキモチが綺麗に表現されていてスゴく実感できます。

続きに期待しています、がんばってください。

Way to go!!!!!
posted by A.344at 2007/06/15 09:33 [ コメントを修正する ]
素直に泣けました。
posted by こいぬat 2007/07/06 09:12 [ コメントを修正する ]
いい。けど、切なすぎて鬱になる。この時間に見るんじゃなかった。
posted by wawawaat 2007/07/10 23:20 [ コメントを修正する ]

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