「う、ううん・・・?」
「あ、ああ・・・?」
「えっと・・・?」
「あのだな・・・?」
「キョン・・・よね・・・?」
「ハルヒ・・・だよな・・・?」
「なんで・・・?」
「何故・・・?」
「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?」」
《二人だけの小さな世界で》
「ちょっと整理するぞ・・・」
「な、なんで!? どうして!?」
「落ち着けハルヒ」
「落ち着けるわけないでしょ!? なんでこんな真っ暗なのよ! なんでこんな近くにキョンがいるのよ!? それにここ狭すぎるわよ!!」
「言いたいこと言ったか? じゃぁ落ち着け」
「うあぁ、もう! なんで!?」
「まずここは何処だ?」
「わかんないわよ! 何より狭い・・・」
「今何時だ? 携帯持ってるか?」
「えっと・・・ 9時46分・・・」
「冗談だろ!? なんでそんな時間なんだ!?」
「あたしに聞かないでよ。 ちょっと! そんなに密着しないでよ!!」
「いや、スマン・・・ しょうがないだろ・・・」
「しょ、しょうがないわね・・・ あんまり触らないでよ・・・?」
「ん・・・? 何か違和感が・・・」
「う、うるさいわよ!!」
「それと、この音・・・」
「音? 何の?」
「外は雨か・・・」
「え、嘘・・・ あたし傘、学校に持ってきてないわよ・・・?」
「学校・・・?」
「あっ・・・」
「「ここ学校!?」」
「まさかと思うんだが」
「あたしも、そのまさかと思うんだけど・・・ 足踏みしてみて」
ドンッドンッドンッ。
「間違えない・・・ 掃除道具入れだ・・・」
「なら扉があるんじゃない?」
「あぁ、そうか。 って・・・ 四方向開かないぞ・・・」
「そんな・・・ 閉じ込められてるの?」
「だな」
「なんで? どうして?」
「知らん・・・ あんまり記憶に無いんだが・・・」
「あたしも・・・ うーん・・・ 何か引っ掛かるんだけどな・・・」
「この時間なら学校には誰もいないか・・・」
「ちょっと・・・足が痛いから動くわよ・・・」
「ん? あぁ、別にいいが?」
「うんしょっ」
「あんまりモゾモゾと動かないでくれよ・・・」
「べっ、別にモゾモゾなんか・・・」
「まぁいいから、ハルヒ。 頼み聞いてくれるか?」
「何?」
「俺のブレザーのポケットから携帯取ってくれないか?」
「見えないわよそんなの・・・ 自分でやりなさい」
「いや、もしかしたらまずい事になったりする場合も・・・」
「いっ、いいから早く取っちゃいなさいよ!!」
「じゃあ騒ぐなよ」
「安心しなさい、あたしはそんな簡単に・・・ ひゃぁぁぁぅっっ!?」
「だから騒ぐなって・・・」
「こっ、このエロキョン・・・!! 今あんた太股触ったじゃない!?」
「だから最初に了解得たじゃないか・・・ なんとなく俺も手の位置想像出来ていたし・・・」
「誰も触っていいなんて言ってないわよ!!」
「あぁ、もうわかったから。 携帯取り出せたしもうokだ」
「本当は触りたいからついでに触ったくせに・・・・」
「何か言ったか?」
「何もっ!!!!!!」
「そう怒るなよ・・・ 太股触っただけだろ?」
「触っただけって・・・ あんたね・・・」
「ちょい電話するから静かにしてくれ」
「むっかぁ・・・ 人の話聞きなさいよ・・・」
「あ、母さん? ちょっと今日遅れるからさ」
「家に電話? ふーん・・・ うん、いいわね」
「いや、ちょっと学校でやり残した事あって居残りしてた」
「ねぇ、キョンー。 はやくぅー、待てないよー」
「んぁっ!? いや、違う違う俺じゃない、飯は――」
「はやく行こうよぉー、一緒になろうよぉー」
「っっっっ!!?? だから母さん誤解すんなよ!? 今非常に説明しずらい状況なんだよ!!」
「はぁっ・・・ キョン君積極的・・・ あぁんっ・・・」
「飯は食って帰るから!」
「ん? 電話終了?」
「おい、ハルヒ・・・ どういうつもりだ・・・」
「仕返よ、し・か・え・し」
「何のだよ・・・」
「触ったでしょ? 言っとくけどあたしの体は高いからね、傷付けたら命じゃ足りないわよ」
「この野郎・・・ 親に最後に『止めないけど、ちゃんと彼女さんの言う通りにしてあげなさいよ』って言われたぞ!!!?」
「そう、あたしの言う通りにしなさい! 無駄に動かず無駄に喋らない事!! いい!?」
「あぁ、もうわかったよ・・・」
「わかればいいのよ」
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
「キョン・・・ つまんない・・・」
「・・・・」
「つまんない・・・」
「・・・・」
「足も疲れた・・・ もう立つのも嫌・・・」
「・・・・」
「帰りたいよぉ・・・」
「・・・・」
「キョン・・・ ねぇ喋ってよ・・・」
「・・・・」
「お願い・・・ 喋って・・・」
「・・・・」
「恐い・・・ あたしこういうの苦手なの・・・」
「・・・・」
「もう何も文句言わないから・・・ お願いよ・・・」
「・・・・」
「何も言わなくていいから・・・ ちょっと黙って受け止めて・・・」
「・・・・」
「ちょっとだけ・・・ 抱きついてもいいよね・・・」
「・・・・」
「恐いの・・・」
「んっ・・・ はぁぁぁわぁぁぁ・・・ あ・・・ はぁっん!?」
「な、ななな、何よいきなりビックリするじゃない!! あ、痛ぁぁぁ・・・」
「おい大丈夫か・・・ 今すんごい鈍い音したぞ・・・」
「あぁ、うん・・・ 大丈夫・・・」
「涙声じゃねえかよ・・・ で質問、抱きついてたよな今?」
「え、だって何も言わなかったじゃない・・・」
「えっとだな・・・ スマン、多分寝てた・・・」
「はぁぁぁぁっっ!? あんた人がせっかく弱音はいて・・・ あ、いやなんでもないわよ」
「その件についてはいい、実は携帯取って電話終えてから一応親に誤解をとくため、と思って録音つけっぱなしだから、多分音入ってる」
「っっっっっ!?!? 今すぐ消しなさい!!!」
「なんでだよ・・・ 一応親の誤解のため・・・」
「いいから!!」
「こら、あんまり動くな!! もし間違ったことでもあっ・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「あの、ハルヒさん・・・」
「キョン・・・?」
「す、スマン・・・ 本当にスマン・・・」
「い、いいけど・・・」
「よくないだろお前・・・ 今確にキスしちまったんだぜ・・・?」
「べ、別にキョンとだったら・・・ ぃぃもの・・・」
「えっとだな・・・ ゴメン、もう一回頼む・・・」
「キョンとだったらキスだろうがなんだろうがいいって言ってんの!!! 悪い!?」
「冗談だろ・・・?」
「あたし・・・変な事言った・・・?」
「いや、そうじゃなくてハルヒが俺を・・・?」
「なんでも・・・ いい・・・」
「ハルヒ・・・ っ!? 光った!?」
ピシャァァーーーーーンッッッ!!! ゴロゴロゴロ・・・
「キャァァァッ!!」
「かなり近いな・・・ ってうおっ!?」
「うぅぁぅ・・・」
「もしかして雷苦手か?」
「大っ嫌い・・・ 恐い・・・」
「抱きつくのは構わないが、なんか俺変な気起こすかもしれないぜ・・・?」
「だからいいって言ってるじゃない・・・」
ピシャァァァーンッッッ!! ゴロゴロゴロ・・・
「なんて近さだ・・・ 爆音みたいだぞ・・・」
「恐いよキョン・・・」
「大丈夫だろ、安心しろ」
「お願いだから離れないでね・・・?」
「こんな密室で離れるほうが困難だっつうの・・・」
「お願い・・・もう一ついい・・・?」
「なんだ?」
「抱き締めてくれない・・・? 強く・・・」
「いいのか俺で?」
「キョンじゃなきゃダメ・・・」
「わかった。 ・・・これでいいか?」
「うん、ありがとお・・・」
「大丈夫か? 元気ないぞ?」
「ちょっと大丈夫じゃないかも・・・ 足が限界・・・」
「俺に倒れるようにもたれかかっていいぞ。 そっちの方が楽になるだろ」
「でもキョンが・・・」
「ハルヒが他人の心配するようなやつだったか?」
「うっ、うるさいわよ! べっ別に心配なんかしてるわけじゃ!!」
「あー、はいはい。 くるぞ」
「へ?」
ピシャァァァーンッッッ!! ゴロゴロゴロ!!!
「きょぉん・・・ 恐いよ・・・」
「大丈夫だって、落ち着け」
「それいい・・・」
「それ?」
「頭撫でてくれるの好きかも・・・ だからできれば・・・」
「満足するまでやってやるよ」
「ありがとおキョン」
「どういたしまして、髪柔らかいな」
「ちゃんと手入れしてるからね」
「染めたりすんなよ?」
「キョンがお願いするならいいわよ」
「頼む」
「その・・・代わり・・・ずっとあたしの傍にいてくれる・・・?」
「あぁ、ずっと、一生守ってやってもいい」
「これから・・・」
「ずっと一緒だ。 離さない」
「うん・・・ ありがとぅ・・・」
「どういたしまして」
「キョンは今どんな顔してる・・・?」
「見ればわかるだろ」
「真っ暗で何も見えないわよ」
「あぁそうか、んっとだな、笑いそうで笑えない微妙な境目だ、お前は・・・ 別にいいか」
「んぐぅ・・・ ぎょおん・・・ うぁ・・・ うぁぁぁぁん・・・」
「泣くな泣くな」
「あたし、あたし・・・ ずぅっとキョンに嫌われてると思ってたぁぁ・・・ いつも、えっぐぅ・・・ いつも振り回してばかりだからぁ・・・ ぁぁぁぁん・・・」
「嫌いだったらハルヒから避けてるさ、でもいつも一緒にいてやってるだろ? 安心しろ、俺はハルヒが好きだよ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」
「ハルヒ、これからもよろしくな」
「うん、うんうんうん・・・ ずぅっと、ずぅっとだよ・・・!!」
「あぁ、約束する」
「きょぉん・・・!!」
最後にキスを交した瞬間、俺の後ろ側にあった扉がいきなり開いた。
周りを見渡した限り、どうやら部室棟の廊下に配置されている掃除道具入れのようだ。
何故こんな場所に入れられたなんて、今となってはどうでもいい。
逆に感謝している。
「帰ろっか、キョン」
ハルヒもあれから落ち着いて今は俺よりも元気かもしれない。
「だな」
二人揃って、真っ暗な廊下を唯一、月の光だけを頼りに歩いていた。
「綺麗な月・・・」
「雨上がったな」
「うん」
「飯食べに行くか」
「うん」
「ハルヒの奢りな」
「うん って、なんであたしが!?」
「今自分で『うん』って言ったじゃないか」
「ち、違うわよ! ・・・あっ、そうだ」
「どうした?」
「あたしの奢りでいいわよ」
「んじゃぁご馳走になります」
「ファミレスでしょ?」
「だな」
「ふふふ・・・」
「なんだよ・・・ 何企んでんだよ」
「大丈夫、安心しなさい」
「お前の企みに安全を保証出来る確率なんて無いに等しいぞ」
「何それ? 酷いわね」
「まぁいいから、腹減ったな」
「まぁいっぱい食べなさい、デザートも許してあげるわよ」
「おお、太っ腹だな、ありがとな、甘いもの欲しかったんだ」
「どういたしまして、その代わりね」
「代わり?」
「後でちゃんと教えてあげるわよ」
「そうか、なら楽しみにしといてやるよ」
「キョン、大好きだから」
「俺もだ」
雨は降った後で清々しい夜。
まだ木に桜が残っており、チラチラと散っていた。
月の輝きも綺麗で、何か起きそうな不思議な夜。
かぐや姫もこんな月の日に帰ったのだろう。
俺の横にいる姫は離す気は無い。
「何? ジロジロと」
「綺麗だと思ってさ」
「へ?」
「月と姫様が」
「月と姫?」
「かぐや姫知ってるよな?」
「竹取り物語?」
「そうだ。 姫もこんな綺麗な月の日に帰ったのかと思ってな」
「そうかもね」
「ハルヒが姫なら・・・ いつかは・・・」
「何か言った?」
「そんなわけ無いか、ハルヒはハルヒだよな」
「え、何?」
「なんでもない。 先行くぞ」
「あっ、こぉらぁキョン!! 置いていくなんて酷いじゃない!!」
世界の何処かで今この瞬間に一つの物語が始まり、終わっているかもしれない。
俺とハルヒの物語はここから始める。
かぐや姫が貴公子に出した難題ほどレベルが高いわけでは無いが、ハルヒが求めるならば出来る限り俺はその求めに応えたい。
「待ちなさいよキョン!!」
携帯をポケットから手際よく出して開く。
八月十五日。
本来ならば桜が木に咲いているはずがない日にち。
朝もここにあった木に桜なんて影も形も無かった。
理由は一つしか無いが、今日はまぁいいだろう。
大昔、かぐや姫が月の都に帰ったのは今日だ。
「本当に綺麗な月だよな、 っっぐおぁっ!?」
「やっと捕まえた・・・ こんなにいい夜なんだから一緒に歩きましょうよ」
「そうだな」
歩いていると、いつの間にか手を繋いでいた。
どちらが先に手を出したのかなんて覚えていない。
幸せならいいんだ。
貴公子たちがかぐや姫の頼んできた品を持ってきたところで、婚約は出来なかっただろう。
彼女だってその人の外形よりも資産よりも、内側が知りたかったのだろう。
ハルヒはどうなのか、なんて俺は知らないが、なるべく、いや絶対に俺はハルヒを守ってやる。
「約束するよ、姫様」
「姫? 誰のこと?」
「誰だろうな」
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後書き。
今回のお題は『かぐや姫』と『キス』と『雷』
いや、掃除道具入れなんてお題はありません(笑
まぁ初番はお題が一つも入ってませんね;;
しかも台詞ばかりで語り無し、という構成(笑
結構、語り無しってのも個人的には好きかもしれません(笑
まぁハルヒのキャラ崩れが多いオレの小説(汗
ハルヒの企みはまた違う所で書くかもしれません(笑
次はどんなネタで書こうかな♪
それでは、また。
そして久々に三者面談再会w
これからまたフェンさんの怒涛の快進撃が復活するのか!?
ネタができ次第全力で送信させてもらいますねw