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2024/04/20 18:55 |
二人だけの小さな世界で
 

「う、ううん・・・?」

「あ、ああ・・・?」

「えっと・・・?」

「あのだな・・・?」

「キョン・・・よね・・・?」

「ハルヒ・・・だよな・・・?」

「なんで・・・?」

「何故・・・?」

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!?!?」」


《二人だけの小さな世界で》

 

 

「ちょっと整理するぞ・・・」

「な、なんで!? どうして!?」

「落ち着けハルヒ」

「落ち着けるわけないでしょ!? なんでこんな真っ暗なのよ! なんでこんな近くにキョンがいるのよ!? それにここ狭すぎるわよ!!」

「言いたいこと言ったか? じゃぁ落ち着け」

「うあぁ、もう! なんで!?」

「まずここは何処だ?」

「わかんないわよ! 何より狭い・・・」

「今何時だ? 携帯持ってるか?」

「えっと・・・ 9時46分・・・」

「冗談だろ!? なんでそんな時間なんだ!?」

「あたしに聞かないでよ。 ちょっと! そんなに密着しないでよ!!」

「いや、スマン・・・ しょうがないだろ・・・」

「しょ、しょうがないわね・・・ あんまり触らないでよ・・・?」

「ん・・・? 何か違和感が・・・」

「う、うるさいわよ!!」

「それと、この音・・・」

「音? 何の?」

「外は雨か・・・」

「え、嘘・・・ あたし傘、学校に持ってきてないわよ・・・?」

「学校・・・?」

「あっ・・・」

「「ここ学校!?」」

 


「まさかと思うんだが」

「あたしも、そのまさかと思うんだけど・・・ 足踏みしてみて」

ドンッドンッドンッ。

「間違えない・・・ 掃除道具入れだ・・・」

「なら扉があるんじゃない?」

「あぁ、そうか。 って・・・ 四方向開かないぞ・・・」

「そんな・・・ 閉じ込められてるの?」

「だな」

「なんで? どうして?」

「知らん・・・ あんまり記憶に無いんだが・・・」

「あたしも・・・ うーん・・・ 何か引っ掛かるんだけどな・・・」

「この時間なら学校には誰もいないか・・・」

「ちょっと・・・足が痛いから動くわよ・・・」

「ん? あぁ、別にいいが?」

「うんしょっ」

「あんまりモゾモゾと動かないでくれよ・・・」

「べっ、別にモゾモゾなんか・・・」

「まぁいいから、ハルヒ。 頼み聞いてくれるか?」

「何?」

「俺のブレザーのポケットから携帯取ってくれないか?」

「見えないわよそんなの・・・ 自分でやりなさい」

「いや、もしかしたらまずい事になったりする場合も・・・」

「いっ、いいから早く取っちゃいなさいよ!!」

「じゃあ騒ぐなよ」

「安心しなさい、あたしはそんな簡単に・・・ ひゃぁぁぁぅっっ!?」

「だから騒ぐなって・・・」

「こっ、このエロキョン・・・!! 今あんた太股触ったじゃない!?」

「だから最初に了解得たじゃないか・・・ なんとなく俺も手の位置想像出来ていたし・・・」

「誰も触っていいなんて言ってないわよ!!」

「あぁ、もうわかったから。 携帯取り出せたしもうokだ」

「本当は触りたいからついでに触ったくせに・・・・」

「何か言ったか?」

「何もっ!!!!!!」

「そう怒るなよ・・・ 太股触っただけだろ?」

「触っただけって・・・ あんたね・・・」

「ちょい電話するから静かにしてくれ」

「むっかぁ・・・ 人の話聞きなさいよ・・・」

「あ、母さん? ちょっと今日遅れるからさ」

「家に電話? ふーん・・・ うん、いいわね」

「いや、ちょっと学校でやり残した事あって居残りしてた」

「ねぇ、キョンー。 はやくぅー、待てないよー」

「んぁっ!? いや、違う違う俺じゃない、飯は――」

「はやく行こうよぉー、一緒になろうよぉー」

「っっっっ!!?? だから母さん誤解すんなよ!? 今非常に説明しずらい状況なんだよ!!」

「はぁっ・・・ キョン君積極的・・・ あぁんっ・・・」

「飯は食って帰るから!」

「ん? 電話終了?」

「おい、ハルヒ・・・ どういうつもりだ・・・」

「仕返よ、し・か・え・し」

「何のだよ・・・」

「触ったでしょ? 言っとくけどあたしの体は高いからね、傷付けたら命じゃ足りないわよ」

「この野郎・・・ 親に最後に『止めないけど、ちゃんと彼女さんの言う通りにしてあげなさいよ』って言われたぞ!!!?」

「そう、あたしの言う通りにしなさい! 無駄に動かず無駄に喋らない事!! いい!?」

「あぁ、もうわかったよ・・・」

「わかればいいのよ」

 

 

「・・・・」

「・・・・」

 

 

 


「・・・・」

「キョン・・・ つまんない・・・」

「・・・・」

「つまんない・・・」

「・・・・」

「足も疲れた・・・ もう立つのも嫌・・・」

「・・・・」

「帰りたいよぉ・・・」

「・・・・」

「キョン・・・ ねぇ喋ってよ・・・」

「・・・・」

「お願い・・・ 喋って・・・」

「・・・・」

「恐い・・・ あたしこういうの苦手なの・・・」

「・・・・」

「もう何も文句言わないから・・・ お願いよ・・・」

「・・・・」

「何も言わなくていいから・・・ ちょっと黙って受け止めて・・・」

「・・・・」

「ちょっとだけ・・・ 抱きついてもいいよね・・・」

「・・・・」

「恐いの・・・」

「んっ・・・ はぁぁぁわぁぁぁ・・・ あ・・・ はぁっん!?」

「な、ななな、何よいきなりビックリするじゃない!! あ、痛ぁぁぁ・・・」

「おい大丈夫か・・・ 今すんごい鈍い音したぞ・・・」

「あぁ、うん・・・ 大丈夫・・・」

「涙声じゃねえかよ・・・ で質問、抱きついてたよな今?」

「え、だって何も言わなかったじゃない・・・」

「えっとだな・・・ スマン、多分寝てた・・・」

「はぁぁぁぁっっ!? あんた人がせっかく弱音はいて・・・ あ、いやなんでもないわよ」

「その件についてはいい、実は携帯取って電話終えてから一応親に誤解をとくため、と思って録音つけっぱなしだから、多分音入ってる」

「っっっっっ!?!? 今すぐ消しなさい!!!」

「なんでだよ・・・ 一応親の誤解のため・・・」

「いいから!!」

「こら、あんまり動くな!! もし間違ったことでもあっ・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「あの、ハルヒさん・・・」

「キョン・・・?」

「す、スマン・・・ 本当にスマン・・・」

「い、いいけど・・・」

「よくないだろお前・・・ 今確にキスしちまったんだぜ・・・?」

「べ、別にキョンとだったら・・・ ぃぃもの・・・」

「えっとだな・・・ ゴメン、もう一回頼む・・・」

「キョンとだったらキスだろうがなんだろうがいいって言ってんの!!! 悪い!?」

「冗談だろ・・・?」

「あたし・・・変な事言った・・・?」

「いや、そうじゃなくてハルヒが俺を・・・?」

「なんでも・・・ いい・・・」

「ハルヒ・・・ っ!? 光った!?」


ピシャァァーーーーーンッッッ!!! ゴロゴロゴロ・・・

「キャァァァッ!!」

「かなり近いな・・・ ってうおっ!?」

「うぅぁぅ・・・」

「もしかして雷苦手か?」

「大っ嫌い・・・ 恐い・・・」

「抱きつくのは構わないが、なんか俺変な気起こすかもしれないぜ・・・?」

「だからいいって言ってるじゃない・・・」

ピシャァァァーンッッッ!! ゴロゴロゴロ・・・

「なんて近さだ・・・ 爆音みたいだぞ・・・」

「恐いよキョン・・・」

「大丈夫だろ、安心しろ」

「お願いだから離れないでね・・・?」

「こんな密室で離れるほうが困難だっつうの・・・」

「お願い・・・もう一ついい・・・?」

「なんだ?」

「抱き締めてくれない・・・? 強く・・・」

「いいのか俺で?」

「キョンじゃなきゃダメ・・・」

「わかった。 ・・・これでいいか?」

「うん、ありがとお・・・」

「大丈夫か? 元気ないぞ?」

「ちょっと大丈夫じゃないかも・・・ 足が限界・・・」

「俺に倒れるようにもたれかかっていいぞ。 そっちの方が楽になるだろ」

「でもキョンが・・・」

「ハルヒが他人の心配するようなやつだったか?」

「うっ、うるさいわよ! べっ別に心配なんかしてるわけじゃ!!」

「あー、はいはい。 くるぞ」

「へ?」

ピシャァァァーンッッッ!! ゴロゴロゴロ!!!

「きょぉん・・・ 恐いよ・・・」

「大丈夫だって、落ち着け」

「それいい・・・」

「それ?」

「頭撫でてくれるの好きかも・・・ だからできれば・・・」

「満足するまでやってやるよ」

「ありがとおキョン」

「どういたしまして、髪柔らかいな」

「ちゃんと手入れしてるからね」

「染めたりすんなよ?」

「キョンがお願いするならいいわよ」

「頼む」

「その・・・代わり・・・ずっとあたしの傍にいてくれる・・・?」

「あぁ、ずっと、一生守ってやってもいい」

「これから・・・」

「ずっと一緒だ。 離さない」

「うん・・・ ありがとぅ・・・」

「どういたしまして」

「キョンは今どんな顔してる・・・?」

「見ればわかるだろ」

「真っ暗で何も見えないわよ」

「あぁそうか、んっとだな、笑いそうで笑えない微妙な境目だ、お前は・・・ 別にいいか」

「んぐぅ・・・ ぎょおん・・・ うぁ・・・ うぁぁぁぁん・・・」

「泣くな泣くな」

「あたし、あたし・・・ ずぅっとキョンに嫌われてると思ってたぁぁ・・・ いつも、えっぐぅ・・・ いつも振り回してばかりだからぁ・・・ ぁぁぁぁん・・・」

「嫌いだったらハルヒから避けてるさ、でもいつも一緒にいてやってるだろ? 安心しろ、俺はハルヒが好きだよ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

「ハルヒ、これからもよろしくな」

「うん、うんうんうん・・・ ずぅっと、ずぅっとだよ・・・!!」

「あぁ、約束する」

「きょぉん・・・!!」

 

 

 

 

最後にキスを交した瞬間、俺の後ろ側にあった扉がいきなり開いた。
周りを見渡した限り、どうやら部室棟の廊下に配置されている掃除道具入れのようだ。
何故こんな場所に入れられたなんて、今となってはどうでもいい。
逆に感謝している。

「帰ろっか、キョン」

ハルヒもあれから落ち着いて今は俺よりも元気かもしれない。

「だな」

二人揃って、真っ暗な廊下を唯一、月の光だけを頼りに歩いていた。

「綺麗な月・・・」

「雨上がったな」

「うん」

「飯食べに行くか」

「うん」

「ハルヒの奢りな」

「うん って、なんであたしが!?」

「今自分で『うん』って言ったじゃないか」

「ち、違うわよ! ・・・あっ、そうだ」

「どうした?」

「あたしの奢りでいいわよ」

「んじゃぁご馳走になります」

「ファミレスでしょ?」

「だな」

「ふふふ・・・」

「なんだよ・・・ 何企んでんだよ」

「大丈夫、安心しなさい」

「お前の企みに安全を保証出来る確率なんて無いに等しいぞ」

「何それ? 酷いわね」

「まぁいいから、腹減ったな」

「まぁいっぱい食べなさい、デザートも許してあげるわよ」

「おお、太っ腹だな、ありがとな、甘いもの欲しかったんだ」

「どういたしまして、その代わりね」

「代わり?」

「後でちゃんと教えてあげるわよ」

「そうか、なら楽しみにしといてやるよ」

「キョン、大好きだから」

「俺もだ」

 

雨は降った後で清々しい夜。
まだ木に桜が残っており、チラチラと散っていた。
月の輝きも綺麗で、何か起きそうな不思議な夜。
かぐや姫もこんな月の日に帰ったのだろう。
俺の横にいる姫は離す気は無い。

「何? ジロジロと」

「綺麗だと思ってさ」

「へ?」

「月と姫様が」

 

「月と姫?」

「かぐや姫知ってるよな?」

「竹取り物語?」

「そうだ。 姫もこんな綺麗な月の日に帰ったのかと思ってな」

「そうかもね」

「ハルヒが姫なら・・・ いつかは・・・」

「何か言った?」

「そんなわけ無いか、ハルヒはハルヒだよな」

「え、何?」

「なんでもない。 先行くぞ」

「あっ、こぉらぁキョン!! 置いていくなんて酷いじゃない!!」

 

世界の何処かで今この瞬間に一つの物語が始まり、終わっているかもしれない。
俺とハルヒの物語はここから始める。
かぐや姫が貴公子に出した難題ほどレベルが高いわけでは無いが、ハルヒが求めるならば出来る限り俺はその求めに応えたい。

「待ちなさいよキョン!!」

携帯をポケットから手際よく出して開く。
八月十五日。
本来ならば桜が木に咲いているはずがない日にち。
朝もここにあった木に桜なんて影も形も無かった。
理由は一つしか無いが、今日はまぁいいだろう。

大昔、かぐや姫が月の都に帰ったのは今日だ。

「本当に綺麗な月だよな、 っっぐおぁっ!?」

「やっと捕まえた・・・ こんなにいい夜なんだから一緒に歩きましょうよ」

「そうだな」

歩いていると、いつの間にか手を繋いでいた。
どちらが先に手を出したのかなんて覚えていない。
幸せならいいんだ。
貴公子たちがかぐや姫の頼んできた品を持ってきたところで、婚約は出来なかっただろう。
彼女だってその人の外形よりも資産よりも、内側が知りたかったのだろう。
ハルヒはどうなのか、なんて俺は知らないが、なるべく、いや絶対に俺はハルヒを守ってやる。

「約束するよ、姫様」

「姫? 誰のこと?」

「誰だろうな」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

後書き。

今回のお題は『かぐや姫』と『キス』と『雷』
いや、掃除道具入れなんてお題はありません(笑
まぁ初番はお題が一つも入ってませんね;;
しかも台詞ばかりで語り無し、という構成(笑
結構、語り無しってのも個人的には好きかもしれません(笑
まぁハルヒのキャラ崩れが多いオレの小説(汗

ハルヒの企みはまた違う所で書くかもしれません(笑

次はどんなネタで書こうかな♪

それでは、また。

 

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2007/05/23 14:52 | Comments(2) | TrackBack() | ハルキョンSS ショート

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コメント

すげぇ…ハルヒといえば『キョンの一人称による語り』という先入観があったからセリフのみの話とか予想外だΣ

そして久々に三者面談再会w

これからまたフェンさんの怒涛の快進撃が復活するのか!?
ネタができ次第全力で送信させてもらいますねw
posted by 王道100番at 2007/05/23 16:11 [ コメントを修正する ]
こういう感じの小説もイイですなぁ!!www
三者面談のネタを考えなくては!!wwww
posted by DNat 2007/05/24 20:58 [ コメントを修正する ]

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